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外国語の間違った発音、気になるのは?」記事へのコメント

  • by sitosi (38952) on 2015年06月20日 23時06分 (#2834334)
    外国語の単語語を日本語に音訳する時には、一般的には(=素人は)「聞こえた通りに正確に記述する」ことが正しいと信じているようです。だから「ハロー」じゃない「ヘロー」だ、いや「ヘロゥ」だとか、「ギョェテ」だとか不毛な論争が続くわけです。

    まず、ある言語を記述する時には発音を正確に表現する「表音文字」が好ましいと信じられていますが、実は「世間の常識、言語学の非常識」で、言語学的には文字は音を正確に表わすべきではなく「音素」を正確に表わすべきだと考えるのが定説です。(言語学的に言えば、「シ」を shi と表記したり、「フ」を fu、「チ」を chi と表記するヘボン式ローマ字は日本語の音韻体形を破壊するもので、とんでもない書記系だと言うことになります。)

    さて、日本語は音素の数が非常にと言うか、異常に少ない。さらに、日本語は開音節が原則です。開音節とは母音で終っている音節です。実際には日本語の単位は音節ではなく、拍(モラ)なのですが、専門的になるので、ここではそれには触れません。

    日本語の、この音素が極端に少なく、かつ音素の構造が極めて種類に乏しい、子音で終る閉音節が存在しないということにより、外国語の音を正確に日本語で表現することは最初から不可能です。

    英語の strike [ˈstɹaɪk] は単音節(1音節)ですが、日本語では子音連続が許されませんので su-to-ra-i-ku(ストライク)ないし su-to-ra-i-ki(ストライキ)と5音節になってしまいます。

    このような外国語を日本語に音訳する時には、それを翻字と言いますが、可能な限り「音素対応」を試みます。実際に耳に聞こえる音ではなく、英語の音素を日本語の音素に対応させます。

    言語学的には原理原則は明確なのですが、言語学などは非常にマイナーな学問分野です。(文科省は今回、日本中の国立大学に対して無用の長物の文学部を廃止せよと厳命したばかりです。)ところが、外来語は日常的に普通の人々がどんどん導入しますので、(しかも普通の人は元の発音をできるだけ正確に記述するのが正しいと信じているので)カオスが発生しているわけです。(さらに外国語を何語であれ英語で発音したものを日本語化しようとするので、もうシッチャカメッチャカ...。)

    なお、日本語のローマ字表記法ですが、日本では内閣(政府)が訓令で定めた日本国公式のローマ字表記が存在します。俗に「訓令式」と呼ばれるローマ字ですが、これは国際規格でも「ISO3602」として規格化されていますが、日本では一般的にはヘボン式ローマ字の方が普及しています。なんと、日本の外務省は政府の一下級機関に過ぎないのに、上部機関の政府(内閣)の定めた訓令式で旅券に氏名を記載することを長い間認めてきませんでした。これはよく考えると法治国家としては非常におかしいことではあったのです。実は言語学的に言えば訓令式ローマ字も色々問題を抱えてはいますが、一応音素表記を試みているので、ヘボン式ローマ字と比べれは百倍もマシな表記法です。(学者たちの間に訓令式ローマ字を使う者が多いのはそういう理由があります。)
    • by Anonymous Coward on 2015年06月21日 10時25分 (#2834509)

      詳しいですね。

      アフリカのなんとか語ではタン クリック音を発音として使うと聞いているのですが、
      何と表記したいと思いますか?

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      まあカタカナで書いたからってしっかり日本語発音する必要もないと思うけどね。
      ストライクのクを発音するときにuをしっかり意識してる人なんてほぼいないでしょ。

    • by Anonymous Coward

      いや単にヘボンさんの功績に嫉妬した官僚さんがドイツ系に傾倒して無理くり作ったけど、
      余計にややこしくなっただけに見えるのですが… 
      大体、訓令式だと、タイプライタ~ラインプリンタ時代に打ち込むのが(今でもにたようなもの)
      面倒だったわけで(一文字もどって長音記号をつけるのと、とにかく右に打ち出す手間の差)

      それとGHQ配下の外務省の方が実質上位だったはずだし。訓令式があるために余計ややこしく、
      違和感を感じている人も多かったのでは無いでしょうか? あと、訓令式は微妙にかっこ悪い。
      これ重要なポイントです。

      それよりも、発音記号の方が大変なように思われ...

      # 美国を米国と表記するお国がらなのに何を美化するかな

      • by Anonymous Coward

        > 大体、訓令式だと、タイプライタ~ラインプリンタ時代に打ち込むのが(今でもにたようなもの)
        > 面倒だったわけで(一文字もどって長音記号をつけるのと、とにかく右に打ち出す手間の差)

        ローマ字入力する場合、打鍵数が少ないほうを採用しています。ち→TI、し→SI、じゃ→JA など。
        そういう意味では、「ローマ字日本語入力しきローマ字表記」というものがあってもいいかも。
        (実際、IME開発者が実装したものはあるわけですが、複数入力方法を許容していますね)

        • by Anonymous Coward

          >そういう意味では、「ローマ字日本語入力しきローマ字表記」というものがあってもいいかも。

          laでぁとか?
          ヤメテ

    • by Anonymous Coward

      かといっても、どういう時にローマ字表記が要るかというと言語学的どうこうではなくて、どう表記したら名称(多くは固有名詞)を
      伝えられるか?でしょう。
      日本語の成り立ちを勉強したい人にとっては訓令式のほうがいいのかもしれませんが、大部分の観光客や対話相手に名称が伝わりやすいかが現実問題としてあるなら、英語(米語)が唯一の標準であるわけではないにせよデファクトスタンダードの地位にあることは否めないわけで。
      外国語の単語語を日本語に音訳するに際しても、言語学者でもない一般人にとっては「音訳」とは(なるべく)聞き取れたままを記述するというのは普通だとおもいます。そこに日本人が発音しやすいとか習慣とかそう聞こえたとかでバイアスが掛かるので表記が揺れるわ

    • by Anonymous Coward

      > 言語学的には文字は音を正確に表わすべきではなく「音素」を正確に表わすべきだと考えるのが定説です。

      間違い。何のために IPA があると思ってるのか。

    • by Anonymous Coward

      まず、ある言語を記述する時には発音を正確に表現する「表音文字」が好ましいと信じられていますが、実は「世間の常識、言語学の非常識」で、言語学的には文字は音を正確に表わすべきではなく「音素」を正確に表わすべきだと考えるのが定説です。

      音(表音文字)と音素の違いの説明が欲しかった。
      たとえば、ある英単語を表音文字として翻字した場合と、音素を正確に表して翻字した場合とかを書いてもらえませんか。
      sh(ʃ)が言語学的(つまり音素派の人たちにとって?)に正しくないというのも、よくわからない。

海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい -- Steven Paul Jobs

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