
「レイプでは妊娠しない説」の歴史 90
ストーリー by hylom
amazing-american 部門より
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あるAnonymous Coward 曰く、
米共和党の下院議員で、下院科学技術委員会の委員も務めるTodd Akin氏が中絶反対の主張の一部として「医者たちが言うには、真正の(本当に嫌がった)レイプならまず妊娠には至らない」と発言し、大きな批難を浴びている。
日本人の一般的な常識でいうとトンデモない発言であるのだが、米国においてこの俗説は根深い歴史があり、一部では賛同者もいるという(The Guardianの記事、The Washington Postの記事)。
The Guardianの記事では、「女性が合意して快楽を享受することで初めて妊娠が起こる」という考えから、妊娠を根拠にレイプの訴えを退ける法制が13世紀のイギリスにすでにあったことが紹介されている。また、同様の認識が長く続いたことを、イギリス最初期の法律書や18世紀の法医学書などを引用して示している。
The Washington Postの記事では、1980年代以降のアメリカの様々な政治家その他による同様の発言が列挙されている。これらの現代版では、本当のレイプの場合「レイプのトラウマで精子を殺す分泌物が分泌される」や「レイプの恐怖でホルモンバランスが変化し妊娠出来なくなる」などの疑似科学的な説明も付けられている。
慶応大学の鈴木晃仁教授も、この西洋の伝統的な生殖―快楽因果説について、またそれが現代のアメリカにも生きていることについてツイートしている(その1、その2、その3)。
レイプの方が妊娠確率が高いという調査結果が存在する (スコア:5, 興味深い)
一方でレイプの方が通常の性交よりも妊娠する確率が高いと言う研究結果 [archive.org]は存在しているようですね。
こちらは追跡調査が行われた結果の話のようです。
米国立司法研究所と疾病対策センター(CDC)がまとめた女性に対する犯罪統計をもとに、ゴットショール夫妻は、12歳—45歳のレイプ被害者405人を追跡調査。405人中、6.4%の女性が、レイプ事件によって妊娠したと証言した。避妊薬や避妊具を使っていた被害者を統計からはずすと、妊娠確率は8%近くにまでなったという。
一方で、同意にもとづく1回の性交による妊娠確率については、米国立環境衛生学研究所が統計調査をまとめて、3.1%に過ぎないとすでに報告している。同研究所によると、この調査の対象になった女性は全員、妊娠を望んでいて、避妊はしていなかった。
と言う事だそうです。この他にも「レイプされるなど激しいストレスを受けると排卵が促されるためだ」という説や「男性は妊娠に適した時期(いわゆる「危険日」として知られますが…)にさしかかっている女性に好意を覚える傾向がある」と言う結果を結びつけて考える説はそれ以前から存在しているようです。
一方、「レイプ被害はあまり表に出したくはないのだから、被害が大きかったケース、妊娠したケースだけ報告されることから来ているだけだ」と言う反論もどこかで読みました。
いずれもデリケートな問題なのでさらに詳細な検証は無いようですが、レイプ被害なら妊娠しにくいと言う調査結果ってこのレベルでも見たこと無いですね。
Re:レイプの方が妊娠確率が高いという調査結果が存在する (スコア:2)
論理的誤謬では?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9E%E5%B8%B0%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%AC%AC [wikipedia.org]