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電力

お金がもらえる電力会社による家庭用エコキュートのピークシフト運転サービス開始へ

タレコミ by Anonymous Coward
あるAnonymous Coward 曰く、
中部電力とデンソーが共同開発した、HEMSからエコキュートや全館空調を自動制御し電力需要調整するシステムについて、
https://hardware.srad.jp/story/17/12/01/0723214/
2019年2月1日からサービスを開始すると発表された。
https://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3269500_21432.html

スラドでの過去のコメントから一番興味を持たれている方が多いと思われる「春・秋の休日に太陽光発電の割合が全体の需給バランスを崩す恐れがあるほど増え、この時間帯にエコキュートを動作させる」上げデマンドレスポンス(Demand Response; DR)について、料金面からみてみた。
料金面に注目するのは、家庭での確実で長期的に定着するピークシフトには自動化が必須で、自動化システムの導入には料金が重要だとタレコみ子が考えているためである。

電力需要の調整に協力すると、その対価を「買取額」として翌々月の電気料金に充当するとのことなので、この買取額が「CO(コ)-エネ」と名付けられた本DRサービスで受け取れる金額となる。
サービス提供開始時の買取額の例(季節や時間帯に応じて変わる場合がある)と書かれているが、これを基に計算してみる。

買取額のコントロール分は30分間につき20円。1回につき120分まで、1日2回まで、月5日までとなっている。

20円×4コマ×2回×5日×12月で、年間最大9,600円となる。現時点では夏や冬に実施される可能性はないため、この金額になる可能性はほぼなく、あくまで契約上の上限である。
コントロール分とは別に基本分として月に50円×12月で年間600円を受け取れる。
客の都合で回数に上限なく機器のコントロールをキャンセルできるので、基本分はCO-エネを契約するだけで受け取れるようだ。

次にコントロール分を受け取るために必要なランニングコストを計算してみよう。
エコキュートを利用している家庭が2016年10月以降に中部電力と契約した場合、ほとんどの世帯がスマートライフプランを選択しているはずだ。
http://www.chuden.co.jp/home/home_menu/home_basic/smart/index.html
エコキュートを運転する時間帯がスマートライフプランのナイトタイム(夜間)16円/kWhから@(アット)ホームタイム(休日の昼間)28円/kWhへ移行するため、12円/kWhのコストがかかる。
エコキュートの消費電力はおよそ1kWなので、1コマ30分の収支は、20円-12円÷2=14円のメリットとなる。

万が一、契約上の上限回数コントロール要請がありそれに応じると、コントロール分は14円×4コマ×2回×5日×12月で年間6,720円。基本分の年間600円を合わせて年間7,320円となる。

では、太陽光発電の余剰売電を行っていて、FITが終了した世帯の場合はどうだろうか。
FIT終了後の買取価格は様々な予想がされているが、現在唯一買取価格を提示している業者の10円/kWhで計算してみよう。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/retail_electricity_utility.html

季節やソーラーパネルの設置方角・仰角などにもよるが、パネル積載量が3kW程度の家庭でも、一般家庭で常時消費されているとされる0.5kWとエコキュートの1kW程度は午後3時頃まで発電できるのではないかと思う。よって、コントロール要請時に買電はほとんど発生しないと仮定して計算してみる。

ナイトタイム16円/kWhで運転していたエコキュートを売電価格10円/kWhの太陽光発電で賄うため、16円/kWh-10円/kWh(10円で売電していた電気は使ってしまい売れなくなるが、16円で買っていた電気も同量不要になる)で、6円/kWhのメリットがある。
これで、上記の基本分・コントロール分に加え6円÷2×4コマ×2回×5日×12月で年間最大1,440円のメリットがある。繰り返すがこれはあくまでも契約上の上限で、実際にこの回数の要請はないと思われる。
さらに、タンク沸き上げから入浴までの時間が短くなり、放熱ロスが減る世帯も多いだろう。

ここまでランニングコストを計算してみたが、タレコみ子はイニシャルコストが大きな障壁になると考えている。
サービス開始時は、デンソー製(トヨタホームブランド・デンソーブランド)のHEMSと対応したエコキュートが必要だからである。

新築や大規模リホーム時に対応機器を選択すればイニシャルコストは低く抑えることができるが、その時に太陽光発電も導入すればFITが終了する10年後の話となる。10kW未満の発電システムは、多くの自治体が補助金を出し、国はZEHを推し進めている状況で、新築時に太陽光発電を導入する世帯が急減するとも思えない。新築時に導入したHEMSとエコキュートで10年後にサービスを受けられる保証はない。

一度導入してしまえば晴天だった天気予報が外れるぐらいしかリスクはなさそうだが、スラド民のあなたはこの価格を魅力的に感じるだろうか。
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UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

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