米国の捜査令状で米企業が国外サーバーに保存した情報の開示要求が可能かどうかをめぐる裁判、終結に向かう
タレコミ by headless
headless 曰く、
米国で発布された捜査令状で米企業が米国外のサーバーに保存したデータの開示を強制できるかどうかをめぐり米政府とMicrosoftが争っていた裁判で3日、米政府による棄却請求に合意する文書をMicrosoftが連邦最高裁に提出した(裁判所文書: PDF、 The Vergeの記事、 Windows Centralの記事、 GeekWireの記事)。
令状は麻薬捜査に関連したもので、Stored Communication Act(SCA)に基づいて2013年に発布された。しかし、データが米国とアイルランドのサーバーに保存されていたことから、Microsoftは令状が米国外のサーバーに保存されたデータの開示には無効だと主張。米国のサーバーに保存されたデータのみを開示し、アイルランドのサーバーに保存されたデータの開示を拒否したため、米政府がMicrosoftを提訴する。連邦地裁では開示義務あり、控訴裁判所では開示義務なしとの判決が出ており、2月から連邦最高裁での審理が始まっていた。
しかし、米国ではサーバーが米国外にあってもデータの開示を要求可能となるCLOUD(Clarifying Lawful Overseas Use of Data) Actが3月に成立。本件に関してCLOUD Actに基づく新たな捜査令状が3月30日に発布されたため、これ以上争う意味はないとして米政府側が控訴審判決の取り消しと棄却する方向で控訴審へ差し戻すよう請求していた(PDF)。連邦最高裁はまだ公式な結論を出していないものの、この裁判は終結に向かうとみられている。
CLOUD Actについては反対の声も出ているが、Microsoftのプレジデント兼最高法務責任者のブラッド・スミス氏はクラウド時代の重要な第一歩だと歓迎する。ただし、米国政府が国際的な合意を促進する必要があることや、プライバシーや人権が保護されるよう法整備を進める必要があることなどを挙げ、まだまだ先は長いとの考えを示している。