原子力発電所の経済性低下により、太陽光や風力に太刀打ちできなくなりつつある
原子力発電所は経済性が低下したことで、再生可能エネルギーとしての基盤を失いつつあり、環境問題に対する影響力も喪失しつつあるという(ロイター、slashdot)。
年次世界原子力産業状況報告書(WNISR)は、新しい風力発電機と太陽光発電機は、コスト面と効率面を改善し、発電能力を増加させた。その結果、既存の原子力発電所と競合可能になった。報告書の筆頭著者であるマイクル・シュナイダー氏は、原子力発電は低炭素の競合他社が実現しているより良く、より安く、より速く建設するという技術的または運用上のニーズを満たしていないと批判した。
原子力発電所の建設に時間が掛かるほど、既存の化石燃料発電所によるCO2排出期間は長くなる。「気候を保護するためには、私たちは最小限の費用で、最短の時間で最も多くの炭素を削減しなければなりません」とシュナイダー氏は語っている。
建設コストも問題に挙げられている。WNISRによると、太陽光発電の建造コストはメガワット時(MWh)あたり36ドルから44ドルほど、陸上風力発電はMWhあたり29ドルから56ドルだ。一方で原子力エネルギーは112ドルから189ドルの間と見積もられている。こうした結果、中国でも2018年の再生可能エネルギーへの投資は910億ドルであったのに対し、原子力には65億ドルしか投資していないとしている。